MuseでSoundFontを使う

はじめに

SoundFont概説

SoundFontとは、ピアノやギター、ドラムなどの楽器波形が収録されたファイル。特定のソフトウェアで読み込むことで、事実上の音源として使うことができる。 SoundFontの種類は豊富、且つ無料で使えるものも多く残存している。このため、根気しだいでハードウェア音源並の音質での音楽を堪能できる。また、従来の音源では出せない音色を探す楽しみがある。 しかしながら、一般への普及が進んだ1990年代は敷居の高い技術であった。導入手順が難解であったことや、演奏時の負荷が従来の音源に比べて高かったためである。 現在は、これらの問題は緩和されつつある。特にパソコンのスペック向上により、規定の音源としてSoundFontが使える演奏環境が発展した。

Museにおける対応

Muse V6.1にて、SoundFontを使って演奏できるソフトウェア“VirtualMIDISynth”と連携することで「音源」メニューから選択したSoundFontを演奏可能になるようになった。 それから4年後のV7.5の時点で、“VirtualMIDISynth”のバージョンアップに伴い、Museからの制御が不能となり、この連携機構は廃止された。 しかし1ヵ月後のV7.6にて、Museが自力で、つまり“VirtualMIDISynth”無しで、SoundFont演奏を可能とする形で復活を遂げた。

(注)MuseとVirtualMIDISynthは、共にBASSライブラリによってSoundFont演奏を実現している。Muse側は明示的リンクでこのライブラリをアクセスしているが、VirtualMIDISynthがどのようなアクセスをしているかは定かではない。よって、MuseでSoundFont演奏を行う場合は、むしろVirtualMIDISynthはインストールしない方が良いかもしれない。一般に言われるDLL-HELLという事態に陥る可能性があるためだ。

SoundFontの利点

  • 音源の差し替えや改造が容易
  • 実音をサンプリングすることで、生演奏に近い表現が可能
  • 従来の音源に無い音色での演奏が可能

SoundFontの欠点

  • 演奏負荷が高い(消費メモリーが多い)
  • 音量バランスがSoundFontにより異なる
  • 海外産が多いため、日本の演奏環境と合わない場面がある。またある程度の英語スキルが無いと入手できない。
  • ハード音源に比べるとエフェクトの効果は弱い

MuseにおけるSoundFontの導入手順

SoundFontを入手する

演奏で使用するSoundFontを入手する。 今回は、音質・容量・バランス共に整っているSoundFont「GeneralUser GS」を例に説明する。これは主観であるが、30MB付近のSoundFontの中ではかなり優秀なものである。 まず、配布サイトへ行き、SoundFontをダウンロードする。 配布元では、使用しているSoundFont対応ソフトウェアに合わせて調整されたバージョンがあり、今回の場合は「GeneralUser GS SoftSynth」を選択する。 他のバージョンでも音は鳴るが、トーンがずれて聞こえることがある点に注意。 入手したファイルはzip圧縮されているので展開すると、SoundFontファイルが現れる。SoundFontの拡張子は「sf2」である。

SoundFontを置くフォルダを作る

入手したSoundFontを、任意のフォルダに設置する。これは、今後SoundFontを使い分ける時に備えて専用のフォルダを作っておいた方が良い。 例えばMuseの入っているフォルダに「SoundFont」というフォルダを作り、そこに入れる。Timidityを使っているのなら、すでに「C:\timidity\musix\」といったフォルダがあるはずなので、それを活用しても良い。

MuseにSoundFontフォルダを関連付ける

最後に、Museで先ほど作ったSoundFontフォルダを関連付けることで、Muse音源欄にSoundFontの一覧が並ぶ。 設定ファイル「muse.ini」を開き、下記のパラメータに、SoundFontが入っているフォルダのパス名を入力する。 相対パスで指定することもでき、その場合の基点フォルダはmuse.exeの存在フォルダとなる。 以下は、絶対パス指定をする場合の例である。

#SF = C:\Programs\MUSE\SoundFonts\

Timidityを使っているのなら、以下のように記述する。

#SF = C:\timidity\musix\

※「インストーラー版Muse」のデラックス版では、上記の導入を自動で行うことができる。 また、Muse用のSoundFontが付属しているため、導入直後に演奏することができる。

掲示板で話題となった主なSoundFont

ここでは、掲示板で話題となったSoundFontの一部を紹介する。なお情報の追記大歓迎である。 なお、SoundFontの楽器配列は自由であるので、必ずしもGM128個の楽器が収録されているとは限らない。例えばオーケストラ楽器詰め合わせのSoundFontでは、P1〜P40まで管弦楽器ということも在りえる。 このため、一般的なMidi演奏を希望するなら、「GM」と付いたSoundFontを探そう。


A320U.sf2(9.5MB)

現在のTimidityに同梱されている軽量SoundFont。一部MSGSと似た音が出るが、基本的にEMU系統の音が出る。バランスは良いが、音質はいいわけではない。

FluidR3 GM(144.9MB)

Public domainのSoundFont。原版の配布元は消滅しているが、他サイトで入手可能。多くの音がステレオサンプリングであり、音質は良好だが癖が強い。なお同GSのフォントも入れればSFX系の音が鳴らせるようになる。

GeneralUser GS(30.5MB)

汎用性の高いSoundFont。バランスが良く、この近辺のSoundFontの中では扱いやすい。配布元では現在も更新が続いている。

GiantSoundFont(合計499.9MB)

合計すると500MBにもなる巨大なGMのSoundFont。残響が深いため、煌びやかな音が出る。音質や音色の目新しさは優秀。

SGM(240.3MB)

視聴用としては最も優秀とされているSoundFont。バランスが重視されており、SC-88ProのGS向けMidiの演奏にもそこそこ対応できる。ただし個々の音色が凡庸。

AIRFONT380(269.5MB)

巨大でバランスの良いSoundFont。GMのMidi演奏においてはSGMを上回る性能を発揮できる。なお容量が3分の1以下になった「A340」というSoundFontがある。

より高度な活用術

(注)以下の記述は、Muse V7.4以前の機能について解説している。現在のMuseは単一のSoundFontしか扱えず、またConfig指定の機構もない。

大量のSoundFontが格納されているフォルダを指定すると、音源メニューがSoundFontだらけになってしまう。 この場合には、対象のSoundFont名を書き込んだ設定ファイルを作成し、それを入れた専用のフォルダを設けることで緩和できる。

CFG専用フォルダの準備

例えばMuseフォルダ内にCFG専用のフォルダを作り、MUSE.iniにはそのフォルダパスを指定する。

#SF = C:\Programs\MUSE\SFconf

confファイルを書く

上記のフォルダに、任意の名前のconfファイルを作成する。名前はSoundFont名でもいいし、「基本セット」のような名前でも良い。 メモ帳などのテキストエディタで、以下のテキストを作成する。

; 基本セット configfile(名前は自由)
; --------------------------------------
[SoundFonts]
sf1=C:\Programs\MUSE\SoundFonts\GeneralUser GS SoftSynth v1.44.sf2
; --------------------------------------

上記ファイルを、「基本セット.conf」などの名前でSFconfフォルダ内に保存する。「ファイルの種類」を「全てのファイル」にすることを忘れずに。

複数のSoundFontを一度に読み込む時は?

バラけている複数のSoundFontを組み合わせたり、部分的にSoundFontを差し替えたい場合には、以下のようにパラメータをいじって記述する。

; Giant_Soundfont 設定ファイル
; --------------------------------------
[SoundFonts]
sf1=C:\Programs\MUSE\SoundFonts\5.5bank1.sf2
sf2=C:\Programs\MUSE\SoundFonts\5.5bank2.sf2
sf3=C:\Programs\MUSE\SoundFonts\5.5bank3.sf2
sf4=C:\Programs\MUSE\SoundFonts\drumset3.0all.sf2
; --------------------------------------

上記の文法はVirtualMIDISynthの設定に準じたもので、MUSEではこれをそのまま送信しているだけである。このため、将来VirtualMIDISynthの設定ファイル文法が変化しても、Muse自体はバージョンアップすることなく継続利用が可能なはずである。

VirtualMIDISynthの設定文法は公開されているわけではないが、WindowsのSystemディレクトリに入っている。作者に確認した所では、「意味が理解できれば自由に編集しても良い」そうである。

設定ファイルを読めばわかることであるが、音量バランスなどさまざまな設定も行うことができる。例えばZSF_GMのように極端にドラムの小さいSoundFontを使う場合には、他チャンネルの音量を小さくしたconfファイルをMuseフォルダに設置すれば、そちらが反映される。

以下、Windowsの32bit版(X86)の場合のパスを記載しておく。64bit版の場合や、OSがCドライブに無い場合は異なるので注意する。

C:\WINDOWS\system32\VirtualMIDISynth\VirtualMIDISynth.conf

VirtualMIDISynth を Timidity と比べてみると

SoundFontを使って演奏できるソフトウェアとして著名なものには、Timidityがある。これに対してVirtualMIDISynthは、以下のような違いがある。


使用用途

結論から言うと、TimidityとVirtualMIDISynthは用途が異なる上共存が可能なので、問題がなければ両方を使い分けることをお薦めする。

VirtualMIDISynthは、演奏の手軽さ、SoundFont導入のしやすさの点でお薦めである。一方で、より上位の演奏を行う場合はTimidityを使うことを推奨する。


VirtualMIDISynthが優位なポイント

  • 動作が軽い(Timidityは、Midi音源として使うというよりも、MidiをWaveに変換する用途が強かった。このため、Midi演奏に関してはVirtualMIDISynthの方が動作が軽い)
  • 入手したSoundFontで即演奏ができる(TimidityでのMidiの演奏はCFGが必要だが、VirtualMIDISynthは不要。よって、面倒なCFG記述が必要とならない)
  • Museの再起動が不要(Timidityを利用した場合、Museでは、曲の演奏や切り替えを行ってもメモリが解放されないので、音色の変更などをするためには定期的にMuseを再起動しなければならない。しかしVirtualMIDISynthではこの作業は不要である。)
  • 波形加工が効きやすい(TimidityをMidiドライバーとして使った場合、波形加工R=..やQ=.がほとんど効かない。これに対し、VirtualMIDISynthでは、ハードウェア音源には劣るもののこれらの加工が可能である。)

Timidityが優位なポイント

  • 部分的な音色の入れ替え(VirtualMIDISynthにはCFGで自由に音色配置を切り替える機能が存在しない。このため、SoundFontの音色がいまいちだと思っても、改造しなければ音色のカスタマイズができない。)
  • 音量のバランス調整(Timidityでは、楽器音量を個別に設定でき、それも100%以上の音量で出力できる。これに対しVirtualMIDISynthでは楽器毎に音量調整ができず、最大値も100%。このため、ドラムが小さいSoundFontでは他の楽器音量を半減させるなどの処置をしなければ使い物にならなかったりする)
  • GUSパッチの利用(VirtualMIDISynthはSoundFontにのみ対応している。GUSパッチは、音色の質は優れているわけではないが、すでにGM音源として洗練されているものが多いので、音楽の視聴には扱いやすい。)
  • 打ち込む場合の負荷(TimidityではSoundFont演奏後にメモリが残るため、繰り返し演奏する打ち込みでは演奏までの負荷は少なくなっていく。一方でVirtualMIDISynthでは、毎回SoundFontをロードするため、打ち込みにおいては演奏負荷が高くなる。) ※(注)VirtualMIDISynthも(V1.4.0)より、メモリを残すモード選択が可能となった。
  • SoundFontのロード方式(Timidityでは、SoundFontから特定の音色だけをロードして使えるため、大容量のSoundFontでも演奏の負荷は大きくない。一方でVirtualMIDISynthは、SoundFont全てをメモリにロードするため、巨大SoundFontの演奏には莫大なメモリが使われる)

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Last-modified: 2016-11-22 (火) 11:59:30 (602d)
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