Release #153
Muse V6.10
ステータス: | 終了 | 開始日: | 2012/06/04 |
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優先度: | 通常 | 作業時間の記録: | - |
担当者: | - | ||
カテゴリ: | - | ||
対象バージョン: | - |
説明
サウンドフォントに対応。(要VirtualMIDISynthインストール)
履歴
#1 Redmine Admin がほぼ11年前に更新
;《Ver6.1 開発後記》2012.06.03 ; ; ◆かなり長い間使い込んだパソコンを昨年秋に新調し、私もWidows7ユーザとなり ; ました。買い替えになかなか踏み切れなかったのは、ひとえにMIDI音源の継承性 ; に不安があったからです。私が愛用する音源は、ソフト音源のRoland VSCです。 ; その動作保証はWinXPまでで、VistaもWin7も保証されていません。巷の噂では、 ; 32bit版のOSであれば動作するが64bit版は無理との事。なんとも緊張の機種選 ; 択です。結果として、無事インストールも動作もできて事無きを得たのですが、 ; 次第に先細りになっていくMIDI音源環境に不安を覚える事頻りでした。前提とす ; るMIDI環境が衰退し、Muse自体が楽しめなくなる日が来るかもしれない・・・。 ; ◆そこで注目したのが、静かな広がりを見せているサウンドフォントです。様々な ; サイトで数多くのサウンドフォントが公開されており、その中にはとてもハイレ ; ベルな音質を実現しているものもあります。しかも、その多くが無料で手に入る。 ; 気に入ったサウンドフォントを楽器毎に組み合わせる事さえできるらしいのです。 ; ◆しかし、サウンドフォントをMuseで鳴らすため、演奏の都度いろいろなインター ; フェースのアプリを起動したり、ポート接続の設定したりするのは閉口します。 ; 「Musingに必須なのはエディタとMuseだけ!」というシンプルな必要条件が私の ; 信条です。サウンドフォント(*.sf2)をゲットしたら、それを任意フォルダに放 ; り込みさえすればMuseに新たな音源ラインナップが加わる。後はいつものMusing ; と何ら変わりはない。そういった単純明快、簡素清貧な姿を実現したいのです。 ; ◆当初は、コンフィグ仕様がある程度公開されていて、その指定パラメータも多彩 ; なTimidity++をターゲットに考えていました。しかしサウンドフォントを切替え ; た際、直前にロードしたサウンドフォントのデータを、どうやっても完全にクリ ; アできません。これでは、私が想定しているイメージを組み立てられないのです。 ; 一時は挫折し掛かってしまいました。そんな折、MuseWorldの掲示板で諸熊さん ; が紹介してくれたCoolSoftというサイトで公開されている「VirtualMIDISynth」 ; の存在を知りました。このソフトは軽量でメモリ効率も高く、サウンドフォント ; の切替えにも完全性があります。これならばMuseと親和性がありそうでした。 ; ◆更に深く掘り下げて調査したところ、実はVirtualMIDISynthはBASSライブラリと ; いう他者開発のDLLを利用しており、BASS側でも「BassMIDIdrv」というほぼ同機 ; 能のフリーソフトをリリースしていました。つまりこちらが元祖であり本家な訳 ; です。しかるに両者を比べると、どうもVirtualMIDISynthの方が肌触りがいい。 ; 何より、そのReadme.txtに書かれたソフトウェアに対する姿勢に共感を覚えます。 ; という訳で、本家ではなく分家の方のドライバを採用する事にしました。 ; ◆Muse側の設定は「初期化ファイル(muse.ini)にサウンドフォントの所在フォルダ ; を一度記述するのみ」という極限まで手間の掛からない設計にしました。どこか ; のサイトでサウンドフォントのファイルを手に入れたら、それこそ文字フォント ; を追加する如く音源メニューに追加できる仕様です。現時点のVirtualMIDISynth ; は、Timidity++に比べるとコンフィグで指定できる音源制御のパラメータが貧弱 ; (というか皆無?)なのですが、このソフトはまだ歴史も浅く現在も改版が頻繁に ; 行われているため、今後の強化に期待してコンフィグファイル(*.conf)にも対応 ; することにしました。サウンドフォントと同一のフォルダに、任意のファイル名 ; を付与し作成したコンフィグを放り込んでおけば、それらコンフィグ群も音源メ ; ニューに出現するようになります。 ; ◆こうして、ひとたびVirtualMIDISynthをインストールしてしまえば、Museだけで ; サウンドフォントを追加したり切替えたりできる、すなわちVirtualMIDISynthの ; アプリ起動操作さえ不要であるMusing環境を実現する事ができました。サウンド ; フォント対応のメリットは、多彩なフリー音源を容易に活用できるのみならず、 ; MIDIの弱点である再現性の問題も、ある程度克服できる点にあります。Museデー ; タの作り手側がターゲットとしたサウンドフォントを明示し、聴き手側がそのサ ; ウンドフォントを入手すれば、音楽演奏の再現性がほぼ一致します。 ; ◆確かに、他のソフトウェアとの依存関係を作ってしまうことは、今後のMuse開発 ; の自由度を低下させる恐れがあります。がしかし、考えてみれば従前からMuseは ; MIDIという規格にべったりと依存しており、更に言えばWindowsという機構のAPI ; で組立てられている訳ですから、それほど劇的なパラダイムシフトではないと捉 ; えています。そもそもサウンドフォントが不要な利用者はVirtualMIDISynthのイ ; ンストールが必須ではないのですから、それほど強い依存関係でもないでしょう。 ; ◆今回の開発は、他のソフトとの協調動作という初の技術要素を含んでいたため、 ; リリース前にΑφροδιτηさんに動作検証をお願いしました。厚く御礼申し ; 上げます。そしてその検証を通じて不具合を検出して頂きました。TiMidity++を、 ; MIDI Mapperを介して駆動すると演奏開始時点で必ずハングするというものです。 ; ◆実はこのバグは、今回のサウンドフォント対応と直接関係がなく、V5.87で同種 ; の不具合(内容は微妙に異なる)に対処した時点から潜在し続けていました。原因 ; は、MIDI MapperとTiMidity++を組合わせた場合のみ、何故かドライバがエクスク ; ルーシブ処理の完了フラグをセットしてくれない事にありました。私のプログラ ; ミングに至らない部分があるのかもしれませんが、どうしても対処できません。 ; この際・・・、という気持ちが頭をもたげました。そもそも、MIDI Mapperの存 ; 在意義は、メンバー毎に異なる音源を割り当てられる事にあります。でも実際は、 ; 各音源のレイテンシーが異なるため実用レベルに至ったとは言い難い状況です。 ; 一方時代は、その役割をサウンドフォントに取って代わらせようとしているよう ; に感じました。しかもWindowsは、Vistaから利用者が標準的手段でMIDI Mapper ; を切替える事ができなくなってしまいました。こういった様々な状況を勘案し、 ; ついにMuseもMIDI Mapperを撤廃することを決断しました! 無論、今回のバグは ; VistaやWin7のせいではありません。よってこの撤廃は「Windwos7 対応」とは胸 ; を張って言えないのも事実です。強いて言うならば「Windows7 便乗」です(笑)。 ; ◆さて話題は逸れますが、今回のバージョンでは他にも手を入れた部分が4つ程あ ; ります。まず音源メニューの版数表示。今まで正規のWindowsのAPI仕様に基づい ; て各音源のバージョン情報を取得していたのですが、所定の受渡し変数に正確な ; 情報をセットしていない音源ドライバがありまくりでした(苦笑)。信憑性の無い ; 情報を表示し続けるのは精神衛生上宜しくないので、この機会に撤廃しました。 ; ◆次に、Museメインウィンドウ右上の版権表示。実はこの表示は、演奏を開始する ; とグレーアウトし、演奏中である事を視認できるよう工夫しています。(演奏中、 ; 不用意に濁声が聞こえて、興醒めしないようにする機能も兼ねています) ~ 笑。 ; しかし、Windows7ではグレーアウトのそのものが平面的で目立たなくなり、通常 ; 表示と区別が付き難くなってしまいました。そこで演奏を開始したら、版権の頭 ; に♪を表示する様にしました。つまりWindows7対応です(大袈裟ですか?) ~ 笑。 ; ◆更に、テキストエリア背景色。従来はシステムのメニュー背景色に自動的に合わ ; せる仕様だったのですが、Windows7ではメニュー背景が3D型表示になった事も ; あり、デフォルトのシステム色はとても惨めな色合いになっていました。しかも、 ; ユーザがこの色を変更するのは、実に分かり難い操作が必要となっていました。 ; そこで私なりにデフォルト色を設定し、加えて初期化ファイルでユーザが自由に ; 色を変更可能としました。つまりWindows7対応です(大袈裟ですか?) ~ 大笑。 ; ◆最後に変更を施したのは、このReadme.txt自体の章立てです。ご存知の通り、本 ; Readme.txtは大変長い(苦笑)。特に問題は、本書の肝である「Muse文法」に辿り ; 着くまでに、かなりの行数を読破しなければならないという点です。そこでアプ ; リケーション概説の章を、最低限の解説とその他に分離し、後者をMuse文法解説 ; の後に移動することにしました。アプリケーション概説が2つに分離した事で、 ; 章立てが3章から4章に変更となった次第です。さしずめ、協奏曲を交響曲に組 ; み直した、といった所でしょうか(笑)。このReadme.txtを素晴らしく美麗なPDF ; ファイルに仕立て上げてくれているPT2Kさんには、またしても新たな対応作業の ; 負荷を与えてしまい恐縮ですが、どうか御容赦下さい。 ; ◆閑話休題。Muse初版開発の頃、私はMIDI規格を勉強しながら、このデジタル技術 ; を駆使すれば個々の楽器の音色をバラ売りできるはずだと気づきました。実世界 ; で各種楽器を購入するようにMIDI楽器が単独購入できて、それらを組み合わせて ; 自分好みのトータル音源を組み上げられたら実に愉快です。1楽器500円ぐらい ; なら買ってしまいそうです。しかし、ドラムも合わせて256個の楽器を揃えたら、 ; 総額10万円を裕に越えてしまうし、しかも稀に1つ1万円とかいう高価な楽器 ; を思わず買っちゃったりして(苦笑)。でもリアルな楽器に比べたら格段に安いし、 ; 少しずつ揃えて行くとしたら心理的な購入障壁は低くなることでしょう。という ; ことは、逆にメーカー側からすれば充分成立しそうなビジネスモデルですよね。 ; ◆しかし残念ながら世の中はそのようには進まなかった。需要は、完成された音楽 ; を購入する方向に進んでしまいました。手間を掛けて自ら音楽を創る、という市 ; 場はどんどん小さくなっています。侘しくも寂しい想い一入です。でもいつの日 ; か「創る悦びへの回帰」が起こると、私は信じています。長い歳月に渡りMuseを ; 支持してくれているミューザーの皆さんの存在がこの種の「悦び」が極めて普遍 ; 的であることを物語っているのだ、と強く感じるからです。心から感謝致します。 ; ◆私にとってMuseとは、私自身のミームの一部を伝承するトランスポーターであり、 ; 私が他界した後も、Museを通じて人々に感動を与え続ける、否、たとえ細々とし ; た状況でも、感動するための道具としてMuseが存在し続けることが、私のささや ; かな望みです。今回のサウンドフォント対応は結局、VirtualMIDISynthという偉 ; 大なるドライバソフトを、単に使いやすくラップしただけの強化かもしれません。 ; がしかし。「優れた楽器奏者をそれぞれ招聘し、一つの楽団を編成する」そんな ; 私の夢に、一歩近づくことができた強化なのではないかと感じています。