Release #103
Muse V5.20
ステータス: | 終了 | 開始日: | 2007/10/12 |
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優先度: | 通常 | 作業時間の記録: | - |
担当者: | - | ||
カテゴリ: | - | ||
対象バージョン: | - |
説明
MIDI発音域の全てに対応、*FONTコマンドの仕様変更など
関連するチケット
履歴
#1 Redmine Admin がほぼ11年前に更新
;《Ver5.2 開発後記》2007.10.10
;
; ◆ついにMIDIの発音域をすべてフォローする日がやって来ました。4年前、DATAコ
; マンドをサポートした際「Museは音源能力を確実に引き出せるシーケンサーにな
; った」と開発後記で豪語したのですが、まだこの極めて本質的な課題を積み残し
; ていました(苦笑)。初版の開発時点で、Museは自らが考える音楽表現ツールとし
; て設計したこともあり、オーケストラの音域がすべて入るピアノの幅で充分と判
; 断していました。しかし、特にMIDIのドラムパートに関しては、Museサポート外
; の音域で鳴る多彩な音が存在することを多くの方から指摘され、また一端のシー
; ケンサーとしての地位確立のためにも、いつかサポートしなければなるまいと心
; に決めていました。
; ◆とは言うものの、全音域サポートの実装がここまで長引いてしまったのは、Muse
; らしいやり方でこの課題に対処することへの拘りがあったからです。単純に全音
; 域にするとMuse鍵盤をかなり横長にする必要があります。しかし、現在のMuseは
; サブウィンドウも含めて800×600に収まるように設計されており、そのポリシー
; を崩したくなかったのです。鍵盤表示はしないまでも、発音だけでも可能にする
; という案もありましたが、コーディングした文字列を視覚的に確認できる機構が
; ないとMuseらしくありません。そんなジレンマの中で、長い期間あれこれ考え続
; けていたのです。今回鍵盤はそのままにして、譜面モニタのみ対応することで開
; 発に踏み切りました。譜面モニタならばウィンドウ寸法が可変ですから、ユーザ
; 環境に合わせて大きさを調整できます。加えて譜面モニタ上に鍵盤の音域を示す
; 点線を表示する工夫も施しました。
; ◆実はこの開発が佳境に入った時、鍵盤ウィンドウの方も一鍵々々の寸法を一回り
; 小さくすれば、600×800に収まることに気づきました。しばし手を止めて熟慮し
; ましたが、結局鍵盤ウィンドウに関しては、今の音域でのサポートが適切である
; と結論付けました。ほとんどの楽曲はピアノ音域を持つMuse鍵盤に収まります。
; にもかかわらず必要以上に鍵盤を左右に広げると、演奏時に色付く鍵盤が中央に
; 偏り、鍵盤の両端はほとんど発色しないといった実に間の抜けた演奏状態になっ
; てしまうことに気付いたからです。それは美しくありません。
; ◆音域拡張のプログラミング作業は思いの外難航しました。着手時点では単に音域
; ガードのif文を外すだけだろうと安易に考えていたのですが、今までの音域を前
; 提にした処理が様々な箇所に点在していたのです。結果として、上位互換性に不
; 安を感じるほど多岐に渡る改修となったため、本格的な互換テストを実施するこ
; とにしました。今までに皆さんから頂いた6千曲のMuseデータに対し、強化前と
; 強化後のMuseでそれぞれMIDI変換を行い、バイナリレベルで一致を確認したので
; す。結果として、本件での上位互換を確認しましたのでご安心下さい。
; ◆テキストアニメ作成では右に出る者はいない、と言われている大御所MIZさんか
; らの提言でフォント処理にも改善を加えました。指定フォントがPC上に存在し
; ない場合、今まではデフォルトのMS Pゴシックで表示していましたが、直前で有
; 効となったフォントを維持するという仕様に変更しました。本件は、残念ながら
; 上位互換性を崩しますが、まあテキストフォントの表示体裁に留まりますので、
; お許し下さい。
; ◆実は、初めてFONTコマンドをサポートした当時、フォントが存在しない時のこの
; 挙動をどちらの仕様にすべきか悩み、結局、選定理由の決定打が無いままにプロ
; グラミングが容易な方を選んでしまったという記憶があります。今回のMIZさん
; の提案には「Musingの際、表示フォントの優先順を組み込むことを可能にする」
; という明確な根拠が存在します。思想に裏付けされた仕様は、美しいものです。
; また一つ、気骨のある意志がMuseに注入されました。MIZさんに感謝いたします。
; ◆その昔、takaさんから左利き用のマウスカーソルも備えて欲しいと言われたこと
; がありました。過去のメールを紐解いたら2001年、つまり6年も前のことでした。
; ずいぶんとお待たせしてしまいましたが、やっとご提供することができました。
; 初めは左右対称のマウスカーソルをリソースに埋め込み、なんらかの指定で切り
; 替えられるようにしようと思ったのですが、いっそのこと初期化ファイルでマウ
; スカーソルのファイルを記述してもらい、如何様なカーソルでも指定できるよう
; にしようと思い立ちました。「左利き対応」が汎化され「カーソル指定」機構に
; 昇華しました。アニメーションカーソルも指定可能ですので、お試し下さい。
; ◆もう一つ積年の課題をクリアしました。スタッカートやq指定の音符に連結&を
; 効果させる件です。これはMuseコンパイルエンジンにメスを入れる改良なので、
; 大変神経を使いました。しかも、今までの制約を逆手に取ったデータに関しては、
; 微妙に互換性が崩れます。しかし、それを補って余りあるMusing効率を生み出す
; と考え、今回実装を決断しました。更に、これもまた互換性を多少崩してしまう
; のですが、和音内の&記述に関する仕様も少々変えました。今までは、音尾部分
; の音長を調整することで和音内の連結を一音毎に制御することが出来たのですが、
; 今回の改訂でそれが出来なくなったためです。何にしても今回の強化項目群は、
; 古き棚に積まれていた荷物を整理したような気持ちにさせるものばかりでした。
; 久々に本Readme.txtから制約事項の行を削除する快感を得ることが出来ました。
; ◆最後にご報告です。先月(9/6)にかの有名なダウンロードサイトVectorに、Muse
; の専用カテゴリが新設されました。これもひとえに、ミューザーの皆さんの支え
; があってこそです。本当にありがとうございました。これからも皆さんに「豊穣
; な時」を与えることができるソフトを目指し、Museの強化を続けていきます。