ピアノをリアルに演奏する(基礎編)

前書き

はじめに

この記事では,本当に基礎となるところだけを説明している。
また,この記事はピアノソロに限って説明している(記事を書いた人がピアノソロしか打ち込んだ経験がないため)。

ピアノソロに限らず,楽曲ごとにイメージされるもの,つまりその楽曲で表現したいものはそれぞれで違うはずである。

そのため,この記事で例として挙げているものには,全ての楽曲で同じように記述しても,効果がなかったりイメージと違っていたりする場合もある。
あくまでこの記事は汎用的な情報しか書いておらず,実際に打ち込む場合は自分なりに表現する事は非常に重要であると言える。

ピアノの表情は「強弱」だけ

ピアノソロでは,強弱と後述するテンポ指定のみで表現されるのが普通である。
もちろん,これは,これだけしか使わないという制約ではない。
表情を強弱でつけて,雰囲気はテンポで演出してあげる。
これが本当の基本となるものである。

では実際に強弱を使ってみよう。
強弱として使えるのは,v(強弱)とw(アクセント)が基本で,場合によっては p(出音)なども使う事がある。

演奏例

これからは README.TXT の「(2-11) ダンパーペダルの操作」で示された曲を題材にして説明したい。
(最初に示した初期の設定は,説明に応じて省いている。)

★ベートーベン「月光ソナタ」
%60 \++++
#A0 @ P1/0 X7=127 R32 W 0 S 0 q-5 ; 右手
#B0 @ P1/0 X7=100 R32 W 0 S 0 q-5 ; 左手

#A0 o4 |(>s<dm)4(>s<dm)(>s<dm)(>s<dm)  |(>s<dm)(>s<dm)(>s<dm)(>s<dm)     |
       |(>l<dm)(>l<dm)(>l<r=f)(>l<r=f) |(>sc+<f)(>s<dm)(>s<dr+)(>fc+<r+) |
#B0 o2 |[d<d>]1                        |[>c<c]                           |
       |[>l<l]2[>f<f]                  |[>s<s][>s<s]                     |

強弱はひとつひとつの音にそれぞれ指定するを基本に据える。
また,打ち込みの場合は強弱の差は極端なくらいがちょうどいいのである。

あまり差がないと聞いている人が分からないので,ff と p の差くらいあっても良いのだ。

では,これについて,私なりに強弱を指定してみたものを例示して,簡単に講釈してみる。
※あくまでもこれは例であって,この通りに打ち込むべきと言いたい訳ではない。

#A0 o4  |(>v100s<v77dv77m)4(>v86s<v44dv65m) (>v87s<v54dv66m)(>v78s<v89dv95m)    |
     |(>v102s<v76dv68m)4(>v79s<v56dv77m) (>v86s<v65dv77m)(>v66s<v78dv96m)    |
        |(>v105l<v75dv66m)4(>v55l<v77dv89m) (>v95l<v55r=v78f)(>v46l<v78r=v99f)  |
        |(>v109sv74c+<v55f)(>v77s<v56dv65m) (>v85s<v56dv43r+)(>v55fv43c+<v68r+) |
#B0 o2  |[v100d<v76d>]1                    |[>v105c<v65c]                       |
        |[>v105l<v66l]2[>v85f<v56f]        |[>v105s<v78s][>v78s<v55s]           |
#B9 @AB |{Y1_1~64 Y0_64}2                  |{Y1_2~64Y0_64}4                     |

右手について,最初の音は強くして,それ以外はおおむね「フレーズの頭」になる部分を除いて弱くした。
また,「月光」の場合は次からフレーズが入るため,この4小節は前奏とも言える。
小節の変わり目は,次に繋がるよう,クレッシェンドっぽくしてみた。
ただ,4小節目の終わりだけは,ちょっと意識を変えてそのまま終わらせてみた。

左手の場合は,うるさくなりやすいので,ベース音となる最も低い音以外はかなり弱めにした。
また,同じ音でも小節の途中の場合は右手に合わせて弱めにした。

前回の何も指定していなかった演奏とはイメージがだいぶ変わったのではないだろうか。
自分が演奏しているような気分になって打ち込むのはとても大切。

あくまでも伴奏はメロディを支えるため,それほど目立ってはいけない。
この曲の場合,次にフレーズが入るため,次の小節からは全体的に弱くして,メロディを目立たせてあげよう。

最後になるが,はっきり言って,強弱なんて自分の感覚だけでかまわないのだ。
演奏者で表現はもちろん変わるし,毎回同じように弾くとは限らない。

大事なのは,自分が最初にこの曲で何を表現したいか,というイメージを持って,それに近づけるように,表情をつけてあげる。
それだけで何となく曲の印象がかなり違ってみえるのだ。

ピアノの最大の演出「テンポ」

ピアノは,強弱以上にテンポが重要。
曲の盛り上がりを演出するにも,ピアノ1台ではいろいろな制約が出てきてしまう。

テンポは慣れるまでかなり難しく,私(筆者)ですらまだまだ修得したとは到底言えない。

また,テンポは強弱以上にマニュアルなどなく,本当にただの感覚で指定するものだと言える。

では。『月光』にテンポをつけてみよう。

#A9     |_1`3                              |%60_2%35:2_                         |
#A0 o4  |(>v100s<v77dv77m)4(>v86s<v44dv65m) (>v87s<v54dv66m)(>v78s<v89dv95m)    |
     |(>v102s<v76dv68m)4(>v79s<v56dv77m) (>v86s<v65dv77m)(>v66s<v78dv96m)    |
        |(>v105l<v75dv66m)4(>v55l<v77dv89m) (>v95l<v55r=v78f)(>v46l<v78r=v99f)  |
        |(>v109sv74c+<v55f)(>v77s<v56dv65m) (>v85s<v56dv43r+)(>v55fv43c+<v68r+) |
#B0 o2  |[v100d<v76d>]1                    |[>v105c<v65c]                       |
        |[>v105l<v66l]2[>v85f<v56f]        |[>v105s<v78s][>v78s<v55s]           |
#B9 @AB |{Y1_1~64 Y0_64}2                  |{Y1_2~64Y0_64}4                     |

あくまでもこの4小節は前奏だと思って,最後にすこしゆっくりにしてみた。
私の解釈だが,次の『月光』のフレーズは,重々しい雰囲気を出すため,
フレーズの終わりの要所要所をゆっくりにしてもったいぶるのもいいかなあ,と思っている。(下の例を参照)

最後に,私の解釈した『月光』の冒頭8小節を提示して,この記事を終わりたい。

私が言いたいのは,ピアノは難しい事を考えず自分の感覚で適当にやってもそれっぽくなるよという事だけである。
特に中身があるわけではないので,100行近い文章自体意味があるかはこの際問わないでください……。

皆さんがもっと楽しく打ち込みができますように。
それでは!!

演奏例

★ベートーベン「月光ソナタ」冒頭8小節
%60 \++++
#A0 @ P1/0 X7=127 R32 W 0 S 0 q-5 ; 右手(3連符部分)
#A1 @                         q-5 ; 右手(フレーズ部分)
#B0 @ P1/0 X7=100 R32 W 0 S 0 q-5 ; 左手

%;---- 01−04 ----
#A9     |_1`3                              |%60_2%35:2_                         |
#A0 o4  |(>v100s<v77dv77m)4(>v86s<v44dv65m) (>v87s<v54dv66m)(>v78s<v89dv95m)    |
     |(>v102s<v76dv68m)4(>v79s<v56dv77m) (>v86s<v65dv77m)(>v66s<v78dv96m)    |
        |(>v105l<v75dv66m)4(>v55l<v77dv89m) (>v95l<v55r=v78f)(>v46l<v78r=v99f)  |
        |(>v109sv74c+<v55f)(>v77s<v56dv65m) (>v85s<v56dv43r+)(>v55fv43c+<v68r+) |
#B0 o2  |[v100d<v76d>]1                    |[>v105c<v65c]                       |
        |[>v105l<v66l]2[>v85f<v56f]        |[>v105s<v78s][>v78s<v55s]           |
#B9 @AB |$p1{Y1_1~64 Y0_64}2               |$p2{Y1_2~64Y0_64}4                  |

%;---- 05−08 ----
#A9     |%60:4_4 _2 %48:4_4               |%60_2. %40:4_4                     |
        |%60_2%55:1_2                     |_2%65:2_2                          |
#A1 o4  |_2.v112s8.v85s16                 |v99s2.v121s8.v96s16                |
        |v100s2v112l                      |v109s2v89f4v112c                   |
#A0 o4  |(>v101mv76s<v76d)(>v86s<v56dv64m) (>v76s<v34dv55m)(>v76s<v54dv76m)   |
        |(>v102s<v76rv76f)(>v85s<v47rv65f) (>v85s<v44rv67f)(>v79s<v56rv89f)   |
        |(>v99s<v68dv67m)(>v89s<v66dv66m)  (>v85l<v56dv66f)(>v54l<v65dv86f)   |
        |(>v99sv75c<v66m)(>v85sv54c<v76m)  (>v84lv45c<v75r+)(>v55lv66c<v89r+) |
#B0 o2  |[v102dv56s<v77d>]1               |[>v101c+<v55sv66c+]1               |
        |[v99d<v66d>]2[>v78f<v55f>]       |[v100c<v67c>][v88c<v59c>]          |
#B9 @AB |${p1}2                           |${p2}4                             |

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