MuseLoidは、Museを用いて歌を歌わせるためのプロジェクト。この話題は2015年4月に開催されたMuseのオフ会で初めて挙がった。サウンドフォントで五十音の発声データを準備しておき、それをMuse側から何らかの方法で切替ながら発音させることで、従来の演奏と並行して、歌唱も可能になるのではないかという発想であった。
MuseLoidを利用するためには、サウンドフォントが使えるよう設定することが必要である。
Museの設定ファイル「MUSE.ini」を開き「、「#SF」パラメーターにサウンドフォントの格納先を記述する。
なお、MuseLoid対応音源と伴奏用のサウンドフォントとを混同しないよう、専用の「MuseLoid」フォルダを作っておくと良い。
この「MuseLoid」フォルダは、「#SF」フォルダとは依存関係のない位置に作成することができる。
Museに歌わせるために、歌声のデータが収録された音源ファイル(サウンドフォントまたはSFZ)を入手する。
入手したサウンドフォントは、手順1で作成したMuseLoid用のフォルダに保存する。
MuseLoid準拠の音源は、インストーラー版Museに同梱されている他、MuseLoid対応音源一覧のページからも入手可能である。
歌と演奏とを組み合わせるために、演奏で使うサウンドフォントを定義する楽団編成ファイル(sfmファイル)を作成する。
楽団編成ファイルは、メモ帳などのテキストエディタを用いて、以下のようにファイルを記述する。
(アスタリスク以降、行末まではコメント。相対パス基点は#SFフォルダ)
*ミューズロイド用サウンドフォント(SFZフォルダ名に割り付け先の楽器番号を添える) d:\hoge\MuseLoid\MuseLoid-hoge2\sfz\ | 53 *伴奏用サウンドフォント(SF2形式はファイル名で記述) d:\hoge\piyo\piano1.sf2
上記ファイルを、「hoge楽団.sfm」などのファイル名で保存する。保存する場所は、「#SF」パラメーターに記述したフォルダである。
(注)ミューズロイド音源の割り付け先は、演奏互換性という観点から、歌声に近い楽器番号を採用することが望ましい。この配慮により、通常音源で再生した場合でも違和感の無い演奏が期待できる。参考として以下に候補例を示す。
P53:合唱アー 男声(合唱) P54:独唱オー 男声(独唱) P55:シンセボーカル 女声(合唱) P86:ソロボーカル 女声(独唱) P92:スペースボイス (予備)
Museを起動し、「音源」 → 「SoundFont?」内に表示される、楽団編成ファイルを選択する。
読み込みが正常に行えたら、「楽器の試聴」を用いて、 P53/50 などの音色を試聴する。
※なお、インストーラー版Museでは、最小限の歌唱が可能なMuseLoid対応音源が付属されており、さらにインストール直後からすぐに歌えるよう、上記で解説した一連の指定が設定済みである。
MuseLoidは通常、合唱アー(P53)、独唱オー(P54)、シンセボーカル(P55)などの楽器にアサインされ、それらのバリエーション番号50〜124に五十音の発声が収録されている。
このため、以下のようにバリエーション変更を用いて発音を変更しつつ、実音を入力することで歌わせる。
#A0@ P53 ; 発音楽器の指定 P/55 _ P/53 _ P/92 _ P/75 _ ; かえるの P/52 _ P/65 _ P/100 _ ; うたが #A1 ; 音程の指定 d r m f m r d
1フィンガーで記述することもできる。
#A0 @P53 P/55 d P/53 r P/92 m P/75 f P/52 m P/65 r P/100 d
発声とバリエーション番号との対応は、以下の表の通りである。
ただし、表中の[ぢ]と[づ]は、それぞれ『でぃ』『どう』と発声する
ア行 | 050:あ | 051:い | 052:う | 053:え | 054:お |
---|---|---|---|---|---|
カ行 | 055:か | 056:き | 057:く | 058:け | 059:こ |
サ行 | 060:さ | 061:し | 062:す | 063:せ | 064:そ |
タ行 | 065:た | 066:ち | 067:つ | 068:て | 069:と |
ナ行 | 070:な | 071:に | 072:ぬ | 073:ね | 074:の |
ハ行 | 075:は | 076:ひ | 077:ふ | 078:へ | 079:ほ |
マ行 | 080:ま | 081:み | 082:む | 083:め | 084:も |
ヤ行 | 085:や | 086:ヰ | 087:ゆ | 088:ヱ | 089:よ |
ラ行 | 090:ら | 091:り | 092:る | 093:れ | 094:ろ |
ワ行 | 095:わ | 096:ゐ | 097:ん | 098:ゑ | 099:を |
ガ行 | 100:が | 101:ぎ | 102:ぐ | 103:げ | 104:ご |
ザ行 | 105:ざ | 106:じ | 107:ず | 108:ぜ | 109:ぞ |
ダ行 | 110:だ | 111:ぢ | 112:づ | 113:で | 114:ど |
バ行 | 115:ば | 116:び | 117:ぶ | 118:べ | 119:ぼ |
パ行 | 120:ぱ | 121:ぴ | 122:ぷ | 123:ぺ | 124:ぽ |
以下のように発音をマクロ化すると、記述が簡便になる。
$a{P/50} $i{P/51} $u{P/52} $e{P/53} $o{P/54}
さらに、*TEXTの追記コマンドをマクロに含めることで、歌うと同時に歌詞も表示できる。
$ka{P/55 *"か"} $ki{P/56 *"き"} $ku{P/57 *"く"} $ke{P/58 *"け"} $ko{P/59 *"こ"}
以下のファイルに、全ての発音をマクロ化してあるので、Museデータに張り付けて使用すると便利である。
マクロを使うと、かなり見通しが良くなる。
#A0 @P53 ${ka} d ${e} r ${ru} m ${no} f ${u} m ${ta} r ${ga} d
「きゃ」などの拗音は、2つの発音を素早く切り替えることで対応する。すなわち、先行する発声を修飾音として記述する。
${ki} d32 ${xya} d4~32 ; きゃ ${fu} d32 ${i} d4~32 ; ふぃ
「っ」は、休符やスタッカートを用いることで表現できる。
${ki} d8 _ ${pu} d ; キップ
「ぎょ」や「しゃ」と言った発音は、装飾音「ぎ」+「ょ」、そして装飾音「し」+「ゃ」でうまくいくと思います。 字の大きさが「ぎ」「し」が大きく「ょ」「ゃ」が小さいので、「ぎ」「し」が主で、「ょ」「ゃ」が従と捉えがちですが 実は逆で、「ぎ」や「し」が修飾音で、「ょ」や「ゃ」が主音です。 装飾音の長さはスローテンポな曲ならば、発音が間延びせぬよう64分音符で違和感がありません。
単なるふりがなとは異なる点もある程度考慮せねばなりません。 「そつぎょうしゃしん」ではなくて「そつぎょおしゃしん」と歌わせると違和感無く聞こえます。 同様に「そのままだったから」は「そのままだあたから」となります。 また「しかって」の場合、実際に歌われるのは「しかあて」に近いです。
「もっと」と言った発音は、「っ」を無音(あるいは休符)と考えるとうまく行きます。 「もっと」の場合は、「も」を強めのスタッカートにして、すぐに「と」を続けます。 「っ」という発声が存在しない方が、「っ」に聴こえるから不思議です。
以下を参照
https://www.vector.co.jp/soft/winnt/art/se518715.html
MuseLoidCheck.mus 作った(MuseLoidを一通り聞きたいときに便利なMuseデータ)